Lesson 12

環境構築

Lesson 12 Chapter 1
Anacondaのインストール

現在機械学習や深層学習を行う際に用いられるプログラミング言語のうち、代表的なものが Python です。 ここでは、みなさんが普段使っているコンピュータ上で Python を利用するための手段の一つとして Anaconda を紹介します。 Anaconda とは、Python の実行環境の一つで、Python で用いるための多くの便利なツールがひとまとめになっているものです。 Python にはさまざまなライブラリ等がありますが、基本的なものについては Anaconda をインストールするだけですぐ使えるようになるので便利です。

では Anaconda のインストール方法について説明します。こちらをクリックしてください。

L12C2_anaconda1.png 出典:ANACONDA, https://www.anaconda.com/

すると上記のような画面がブラウザで開かれます。「Get Additional Installers」と書いてあるところをクリックして、ご自身のコンピュータにあった選択肢を選びましょう。

L12C2_anaconda2.png 出典:ANACONDA, https://www.anaconda.com/products/distribution

ここでは Windows の「64-Bit Graphical Installer」を選択します。すると Anaconda のインストーラがダウンロードされます。

ダウンロードされたインストーラを開くと、次のようなダイアログが表示されるので、「Next」をクリックします。

L12C2_anaconda3.png Anaconda のインストーラ

ライセンス契約が表示されるので、それを読み、「I Agree」をクリックします。

L12C2_anaconda4.png Anaconda のライセンス契約

インストールの種類を選びます。どちらでも問題ありませんが、よくわからなければ推奨されている「Just Me」を選択しましょう。 選択したら、「Next」をクリックします。

L12C2_anaconda5.png Anaconda のインストールの種類

Anaconda をインストールするフォルダを選びます。デフォルトのままで問題ありませんが、もし変更したければ「Browse...」をクリックしてフォルダを選択しましょう。 再び「Next」をクリックします。

L12C2_anaconda6.png Anaconda のインストール先のフォルダ

インストールの際のオプションが表示されます。 特に希望がなければデフォルトの状態(「Create menu shortcuts」および「Register Anaconda3 as my default Python 3.10」が選択された状態)のままで構いません。 選択し終わったら、「Install」をクリックします。

L12C2_anaconda7.png Anaconda のインストールのオプション

Anaconda がインストールされるので、終わるまで待ちましょう。終わったら、「Next」をクリックします。

L12C2_anaconda8.png Anaconda インストール中

DataSpell という統合開発環境を使うことを薦められます。今回は使わないので、「Next」をクリックします。

L12C2_anaconda9.png DataSpell

最後に、Anaconda を始める際に便利な情報が書いてある公式のサイトをブラウザで開くかどうかを聞かれるので、どうするかを選択し、 「Finish」をクリックします。

L12C2_anaconda10.png Anaconda インストール完了

これで Anaconda のインストールができたはずです。確認してみましょう。 インストールされたもののうち、「Anaconda Prompt」を開きます。

L12C2_anaconda11.png Anaconda Prompt

するとこのような黒い画面が表示されるので、pythonと入力し、エンターキーを押します。

L12C2_anaconda12.png Anaconda Prompt で Python 起動

Python が起動されました。ではprint("Hello, world!")と入力し、エンターキーを押してみてください。

L12C2_anaconda13.png Anaconda Prompt の Python で Hello, World!

「Hello, world!」と表示されます。Anaconda を使って Python を動かすことができました。

Lesson 12 Chapter 2
Anaconda仮想環境の構築

Chapter1で Anaconda がインストールできたので、続いて仮想環境を構築してみます。

仮想環境とは、ここでは用途に応じて選択できるような Python プログラムの実行のための環境のことで、通常複数の仮想環境を1つのコンピュータ上に用意することができます。 Python を使う際には多くのライブラリを使うことになりますが、それらを使うたびにすべて同一の環境にインストールしてしまうのは好ましくありません。 目的によって環境を選べる仮想環境は Python を使って研究・開発する際には必須の存在といえるでしょう。

それでは、Anaconda を使って仮想環境を作ってみましょう。以下ではしばらくターミナル(例えば Anaconda Prompt)でコマンドを入力します。

まず単純に Python が実行できるだけの仮想環境を作ってみます。以下のコマンドを入力してください。

ターミナル
conda create -n env1 python

すると、いくつかのライブラリをインストールしてもよいかを聞かれるので、yと入力してエンターキーを押します。 インストールが終われば仮想環境の完成です。先ほどのコマンドで-nの後ろでenv1 と入力したので、仮想環境に env1 という名前がついています。

では、作成した仮想環境を起動してみます。以下のコマンドを入力してください。

ターミナル
conda activate env1

これで仮想環境 env1 が起動できました。 この状態でpythonと入力すれば env1 という仮想環境上で Python を実行できます。 なお、仮想環境を停止するには以下のコマンドを入力してください。

ターミナル
conda deactivate env1

続いて仮想環境にライブラリ(あるいはパッケージ)をインストールするやり方を説明します。今回は NumPy をインストールします。 ライブラリをインストールしたい仮想環境を起動した状態で、次のコマンドを入力してください。

ターミナル
conda install numpy

これで仮想環境に NumPy がインストールされました。 では Python で、import numpyを実行してみてください。 何もエラーが出ていなければ NumPy が正常にインストールされていることになります。 エラーが出たら、もう一度やり直してみてください。

基本的には上記のようにして Anaconda で仮想環境を作成し、使用することができます。他にも便利なコマンドがあるのでいくつか紹介します。 仮想環境を削除したい場合は次のコマンドを入力してください(下は仮想環境 env1 を削除する場合)。

ターミナル
conda remove -n env1 --all

仮想環境の一覧を表示するには次のコマンドを入力してください。

ターミナル
conda info -e

Pythonのバージョンを指定したい場合には、仮想環境を作成する際に次のようにします。

ターミナル
conda create -n env1 python=3.8.1

またライブラリやパッケージについても、次のようにしてインストールするバージョンを指定できます。

ターミナル
conda install numpy=1.13.1

他にもさまざまなコマンドが用意されています。 Anaconda を使って適切な仮想環境を作り、使っていくことでよりよい開発体験を得ることができます。

Lesson 12 Chapter 3
Jupyter NotebookでHello Worldしてみよう

先ほどまではターミナル上で Python を実行していましたが、ここでは Jupyter Notebook(https://jupyter.org/)というものを使ってブラウザ上で実行してみます。 Anaconda のインストールの際に Anaconda Navigator(https://docs.anaconda.com/navigator/index.html) というものもインストールされているはずなので、それを開きます。

L12C2_jupyter1.png Anaconda Navigator

Anaconda Navigator が起動したら、上の方にあるプルダウンボタンから仮想環境を選択します。 上の画像では env1 が選択されています。

そうしたら、Jupyter Notebook の「Install」をクリックしましょう。インストールが完了したら、一旦 Anaconda Navigator を閉じます。

L12C2_jupyter2.png Anaconda Navigator で Jupyter Notebook のインストール完了 「Install」が「Launch」になっている

続いてターミナルを起動して、次のコマンドを実行します。

ターミナル
python -m ipykernel install --user --n env2

これで Jupyter Notebook から Anaconda で作成した仮想環境が使えるようになりました。 それでは再び Anaconda Navigator を開き、Jupyter Notebook の「Launch」をクリックします。

すると下のような画面がブラウザで開かれるので、右上の方にある「New」をクリックし、仮想環境を選択します。 これにより、選ばれた仮想環境上で Python を実行できるノートブックが作成されます。

L12C2_jupyter3.png Jupyter Notebook

L12C2_jupyter4.png Jupyter Notebook の新規ノートブック

では Jupyter Notebook で Hello World をしてみましょう。下の画像のようにprint("Hello world") と入力し、「実行」をクリックします。Hello World できたでしょうか。

L12C2_jupyter5.png Jupyter Notebook で Hello World

なお Jupyter Notebook ではセルと呼ばれる単位でプログラムを実行します。上の方にある「+」のボタンを押すとセルを追加できます。 またノートブックの名前はデフォルトで Untitled になっていますが、名前のところをクリックすると変更できます。 そして、「💾」ボタンでノートブックを保存できます。 他にもさまざまな機能が Jupyter Notebook にはあるので、色々と試してみるとよいでしょう。

Lesson 12 Chapter 4
Anacondaを使うメリット

ここまで Anaconda の基本的な使い方を紹介したところで、改めて Anaconda を使うことのメリットを紹介します。

まず、最初にも説明したことですが、Anaconda は Python を使う際に便利なものがセットになっているので、Anaconda をインストールするだけで すぐに Python による本格的な開発を始めるための環境を整えられるのが大きなメリットです。 このことは、環境構築に慣れていない初心者の方にとっては特に便利な点といえるでしょう。

また、仮想環境を簡単に作れることもメリットになります。 ライブラリやパッケージが多く存在するPython による開発では、仮想環境は不可欠です。 Anaconda では、Chapter2で学んだようにコマンド1つで簡単に仮想環境を作成でき、仮想環境の切り替えやライブラリ等のインストールも非常に簡単に実行できます。

他にも、Anaconda Navigator を使って Jupyter Notebook などのアプリケーションを手軽にインストールできるなどのメリットがあります。 今後 Anaconda を使って Python による機械学習や深層学習を学んでいきましょう。