Lesson 1

はじめに

Lesson 1 Chapter 1
基本情報技術者試験とは

基本情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施している国家試験で、ITエンジニアの登竜門とも言われている試験です。
受験者に制限はなく、誰でも受験できる試験となっています。

また、IPAは各試験にレベルを設けています。
基本情報技術者試験のレベルとしては、ITパスポート試験がレベル1であるのに対して、レベル2に位置づけられています。

source1.png 基本情報技術者試験の位置づけ

合格率

基本情報技術者試験の合格率は、20%~30%を推移しています。
R2年から試験方式が、CBT方式に移行された影響で合格率が上がっていますが、調整されていくことが予想されますので油断はできません。

source2.png 合格率推移

CBT方式

コンピュータを使用した試験方式のことです。

学習するメリット

基本情報技術者試験を学習するメリットは、資格を取得すると就職活動や転職活動等で、IT関係の知識をアピールする際に役立つ点です。

また、IT関係に関する基礎知識を習得できるため、特にIT関係の企業で従事している人、就職したい人は学習して損はしないでしょう。

さらに、応用情報技術者試験等の上位資格の土台となるため、まずは、基本情報技術者試験から受験してみるというのもいいでしょう。

このチャプターでは、基本情報技術者試験について簡単に説明しました。
次のチャプターでは、もう少し詳しく、試験要項、シラバスの概要を説明します。

Lesson 1 Chapter 2
試験要項、シラバスの概要説明

このチャプターでは、基本情報技術者試験の試験要項、シラバスの概要を説明します。
2023年4月からは試験の仕組みがこれまでと少し異なるので、試験について調べる際は注意しましょう。

受験回数の変更

これまで年2回の実施でしたがいつでも受験可能になりました。

試験要項

基本情報技術者試験は、午前と午後で試験が分かれています。
合格するためには、午前試験と午後試験の両方で合格水準(600点/1000点以上)に達する必要があります。

その他、試験内容については以下の通りです。

科目名 試験時間 問題数 出題形式
科目A(午前試験) 90分 60問 4肢選択式
科目B(午後試験) 100分 20問 多肢選択式

シラバスの概要説明

基本情報技術者試験は、大きく分けると、テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3つの分野に分けることができます。            

まずは、テクノロジ系でどのようなことを学ぶのか見てみましょう。 

テクノロジ系

テクノロジ系では以下が出題範囲となります。

基礎理論

 →コンピュータで扱う数値表現、数学などを学ぶ

アルゴリズムとプログラミング

 →アルゴリズムとプログラミングの基本的な考え方などを学ぶ

コンピュータ構成要素

 →CPU、メモリ等のコンピュータの構成などを学ぶ

システム構成要素

 →システムに必要なOS、アプリケーションなどを学ぶ

ソフトウェア

 →OSの機能などを学ぶ

ハードウェア

 →電気、電子回路などを学ぶ

ヒューマンインタフェース

 →UI、音声認識などを学ぶ

マルチメディア

 →音声などのデータ処理方法を学ぶ

データベース

 →データベースについて学ぶ

ネットワーク

 →コンピュータ同士の接続方法などを学ぶ

セキュリティ

 →セキュリティ、コンピュータウイルスなどを学ぶ

システム開発技術

 →システム開発において、各工程で行うことなどを学ぶ

ソフトウェア開発管理技術

 →システム開発の進め方などを学ぶ

ここまでがテクノロジ系で学ぶ範囲です。

次は、マネジメント系でどのようなことを学ぶのか見てみましょう。

マネジメント系

マネジメント系では、以下が出題範囲となります。

プロジェクトマネジメント

 →QCDを管理する方法などを学ぶ

サービスマネジメント

 →システムを安定運用する方法などを学ぶ

システム監査

 →システムを監査する方法などを学ぶ

ここまでがマネジメント系で学ぶ範囲です。

最後に、ストラテジ系でどのようなことを学ぶのか見てみましょう。

ストラテジ系

ストラテジ系では、以下が出題範囲となります。

システム戦略

 →システムの策定などを学ぶ

システム企画

 →システムに必要な要件の企画などを学ぶ

経営戦略マネジメント

 →ITを活用した経営戦略などを学ぶ

技術戦略マネジメント

 →戦略的に取り組む技術などを学ぶ

ビジネスインダストリ

 →必要なシステムとパッケージなどを学ぶ

企業活動

 →財務会計など、企業活動に必要な知識を学ぶ

法務

 →ITに関連する法律などを学ぶ

以上が、基本情報技術者試験で学習する範囲です。
範囲は多いですが、頑張って学習していきましょう。
次のチャプターでは、本教材で取り扱う内容を説明します。

Lesson 1 Chapter 3
本教材で取り扱う内容

このチャプターでは、本教材で取り扱う内容を説明します。
本教材では、基本情報技術者試験の試験A(午前試験)の内容を取り扱います。

シラバスを読んでいただいてお分かりいただけたかと思いますが、基本情報技術者試験の試験範囲はとても広いです。
そのため、基本的にはchapter2で説明した、シラバスに準拠して進めていきますが、特に問題が出題されやすい分野に重点をおいて学習していきます。

また、試験B(午後試験)については、本教材では取扱いませんが、午後試験も午前試験の内容がベースになるので、まずは、午前試験の内容をしっかり理解していきましょう。

午後試験の試験形式、試験範囲の変更

午後試験はアルゴリズムとプログラミングを中心とする試験に変更されました

次のチャプターでは、過去問の重要性について説明します。

Lesson 1 Chapter 4
過去問の重要性

このチャプターでは、過去問の重要性について説明します。

出題傾向

基本情報技術者試験の傾向として、過去問からの出題が多いという点があります。
全部が全部、同じ問題ということではありませんが、ほとんど同じ問題や過去問を理解していれば解ける問題が出題されています。

2023年4月からは少し試験の方式は変わりますが、出題範囲が大幅に変更されるということではないので、これまで通り過去問を重点において対策していきましょう。

過去問の重要性

では、過去問の重要性を知るために、実際に過去問を見比べてみましょう。

以下の問題はH28年にハードウェアの分野で出題されものです。


午前 問22

メモリセルにフリップフロップ回路を利用したものはどれか。

ア DRAM

イ SDRAM

ウ SRAM

エ EEPROM

「出典:平成28年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問22」


いかかでしょうか。
今は答えが分からなくても大丈夫です。
ちなみに答えは『ウ:SRAM』です。
この問題を見たうえで、次の問題をみてみましょう。

以下の問題も実際に出題された問題です。


午前 問21

メモリセルにフリップフロップ回路を利用したものはどれか。

ア DRAM

イ EEPROM

ウ SDRAM

エ SRAM

「出典:平成31年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問21」


こちらはいかがでしょうか。
実は、上記2つの問題は選択肢が入れ替わっているだけで全く同じ問題です。

もちろん、全部がこのように同じ問題ではありませんが、過去問の重要性が分かっていただけたかと思います。
ただ、実際に過去問で学習する際は、誤りの選択肢もしっかりと理解しながら進めていきましょう。なぜなら誤りの選択肢の内容が出題されることもあるからです。

では、過去問の重要性が分かったところで、次のチャプターから実際に学習を進めていきましょう。