Lesson 1
はじめに
Lesson 1
Chapter 1
サーバーとは
このコースでは「サーバーの基礎」を学んでいきます。
サーバーの種類はもちろん、セキュリティやサイバー攻撃などについても学習していきます。
レッスン1では、「サーバー」とサーバーを利用する「クライアント」の概要について解説していきます。 まず最初に、サーバーの概要について学習していきましょう。
サーバーとは
さっそくですが、「サーバー」とはどのようなものかイメージできるでしょうか。
一口にサーバーと言っても、サーバーには様々なものが存在します。 「ウォーターサーバー」や「コーヒーサーバー」などの飲み物を注いでくれるサーバーもあれば、テニスやバレーボールなどでサーブする人のことをサーバーと呼んだりもします。
サーバーとは、英語で「server」と表し、日本語では「提供するもの」と訳されます。
では、コンピュータのサーバーは何を提供しているのでしょう。
普段私たちは、パソコンを使用してWebサイトを閲覧したり、メールを送信したりしています。
Webサイトを閲覧できるのは、Webサイトを閲覧できるようにしてくれるサービスがあるからであり、
送信したメールが宛先に届くのは、メールを宛先まで届けてくれるサービスがあるからです。
このようなサービスを提供しているコンピュータを「サーバー」と呼びます。
サーバーとは「ネットワーク上の利用者に対して、様々なサービスを提供するコンピュータ」のことです。 私たちがネットワークを通じて、何かのサービスを利用するとき、必ずその先にはサーバーが存在しています。
サーバーを理解する
ここまでサーバーの概要について解説してきましたが、まだサーバーのイメージがわかないと思いますので、ネットショッピングを例にしてサーバーのイメージをつかみましょう。 ネットショッピングを利用するときのワークフローに沿って話を進めていきますので、下の方の図を見ながらご確認ください。
- ショッピングサイトを訪問して商品を閲覧/選択する。
- 商品を購入するための、ログイン情報(ID/パスワード)や会員情報(名前、住所など)を登録する。
- ②で設定したログイン情報でショッピングサイトにログインを行う。
- クレジットカードなどの決済情報を入力して購入手続きを行う。
インターネットを介して、ショッピングサイトを訪問したとき、 『Webサーバー』により、ショッピングサイトのWebページが提供され、 はじめて私たちはショッピングサイトを閲覧することができます。
ショッピングサイトで、ログイン情報や会員情報を入力して登録したとき、 入力した情報が保存されるのが『データベースサーバー』になります。 みなさんの大切なデータを管理します。
ショッピングサイトに会員登録した後ログインを行いますが、 その際に、入力されたIDとパスワードを用いて正しい利用者であるか判定するのが『認証サーバー』になります。
クレジットカード情報を入力後、 『決済サーバー』を経由して、各決済機関に決済データが送信されます。 その後、決済機関から決済結果返答がサーバーに送られてきます。 その結果に問題がなかった場合に、商品を購入することができます。
主なサーバーとその役割
上記で登場したサーバー以外にも、たくさんの種類のサーバーが存在します。 以下の表に代表的なサーバーをまとめましたのでご覧ください。
サーバー名 | 主な役割 |
---|---|
メールサーバー | メールを送受信する |
Webサーバー | Webページを表示する |
アプリケーションサーバー | Webアプリケーションなどを実行する |
データベースサーバー | データを保存、整理、管理する |
認証サーバー | 利用者(ユーザー)を識別し、認証する |
監視サーバー | 必要なサービスが提供できているかサーバーを監視する |
ファイルサーバー | ネットワーク内でファイル共有を可能にする |
プリントサーバー | ネットワーク内でプリント共有を可能にする |
FTPサーバー | ファイルを転送する |
DHCPサーバー | ネットワーク内の各端末に「IPアドレス」を割り振る |
プロキシサーバー | ネットワーク接続を中継する |
サーバーといっても、中身はCPUやメモリ、ストレージなど、私たちが普段使用しているパソコンと同じ構成で作られているコンピュータです。
そのコンピュータに、行いたいサービスに応じて必要なソフトウェアをインストールします。
例えば、メールを送受信するサービスを行いたい場合は、メールサーバーソフトウェアをインストールする必要があります。
また、Webサーバーを構築したい場合は、Webサーバーソフトウェアをインストールする必要があります。
これにより、メールサーバーとして運用できたり、Webサーバーとして運用することが可能になります。
このチャプターではサーバーの概要について学習しました。 次のチャプターではクライアントの概要を学習していきましょう。

Lesson 1
Chapter 2
クライアントとは
チャプター1でサーバーとは、「ネットワーク上の利用者に対して、様々なサービスを提供するコンピュータ」と学びました。
それに対し、「サーバーからサービスを受ける側の存在」を「クライアント」と呼びます。
特定の物質を指すわけではなく、役割上の名称を表しています。
サーバーとクライアントの関係を理解する
サーバーは、それ単体で動作するわけでなく、クライアントからの要求を受けてはじめて、処理を開始しサービスを提供します。
サーバーがクライアントに対してサービスを提供するとき、サーバーとクライアントの間では以下のような処理が行われます。
-
クライアントはサーバーに何らかのサービスを要求する。
-
サーバーは要求に応じて処理を行う。
-
サーバーは処理結果をクライアントに返す。
-
クライアントは処理結果を受けとる。
Webサービスに当てはめてみよう
チャプター1では、ネットショッピングを例に解説しました。
ショッピングサイトが表示されるまでを、上記の1〜4に当てはめて考えてみましょう。
下記の図と併せてご覧ください。
-
WebブラウザはWebサーバーに「ショッピングサイトのデータをください」と要求する。
-
Webサーバーはショッピングサイトのファイルを見つけ、必要に応じてプログラムを実行する。
-
WebサーバーはショッピングサイトのファイルをWebブラウザに返す。
-
Webブラウザはショッピングサイトのファイルを受け取り、画面に表示する。
クライアントの種類
ネットショッピングの例では、Webブラウザがクライアントに該当しています。
クライアント側にはまず利用者がいます。
そして利用者の端末には、PCやスマホ、タブレットなどの種類が存在します。
どの端末でもサーバーのサービスを受けるには、Webブラウザやメールクライアントなどのアプリケーションが必要です。
そのため、利用者や端末自体をクライアントと呼ぶこともあれば、アプリケーションをクライアントと呼ぶこともあります。
つまり、サーバーを利用するアプリケーションの数だけ、クライアントの種類は存在することになります。
クライアント/サーバーシステム
このように、サーバーとクライアントで構成されているシステムのことを、
「クライアント/サーバーシステム」と呼びます。
クライアント/サーバーシステムは、
サーバーでデーターを一元的、かつ容易に管理できることから、
ほとんどのコンピュータシステムで採用されています。
以上、レッスン1では、サーバーとクライアントの概要について学習しました。
レッスン2から、サーバーについて具体的に解説していきます。
