Lesson 8
サーバーを設置する
Lesson 8
Chapter 1
設置環境
本コース「サーバーの基礎」もこのレッスンで最後になります。
最後のレッスンでは、「サーバーを設置する環境」と「サーバーを設置する際に必要となる周辺機器」について解説していきます。
※仮想サーバーではなく、物理サーバーの設置についての内容です。
実際に物理サーバーを設置する機会は、専門業者でなければあまりないかもしれません。
もし、物理サーバーを設置することになったときには、個人で自宅に設置する場合でも、業務で設置する場合でも考慮しなければいけない条件があります。
サーバーを設置するにあたって、どこに設置するかは非常に重要です。
サーバーを安定して稼働させるためには、故障やトラブルの原因になりやすい条件から避けなければいけません。
まずはサーバーの設置環境の条件について学習していきましょう。
設置環境の条件
サーバーを安定稼働させるための設置環境には、「満たす必要がある条件」と「避ける必要がある条件」があります。 それぞれどのような条件なのか確認しましょう。
満たす必要がある条件
【サーバー動作時】
- 室内温度10°C~35°Cの範囲
- 湿度は20%~80%の範囲
- 温度勾配±10°C/h
- 気圧749~1040hpa
【サーバー休止時】
- 室内温度5°C~40°Cの範囲
- 湿度は10%~80%の範囲
- 温度勾配±15°C/h
- 気圧749~1040hpa
上記の条件は、主に空調設備が重要な条件です。
避ける必要がある条件
-
温度変化が激しい場所
エアコンや暖房器具のすぐ近くなど -
直射日光に当たる場所
窓の近くなど -
強い振動が発生する場所
幹線道路沿いなど(建物にもよる) -
その他
床におうとつや傾斜のある場所、静電気が発生しやすい場所など
上記の条件は、主にサーバーを設置する前に確認する必要がある条件です。
これらの条件は、どのような規模のシステムでも、サーバーの安定した運用には必要な条件です。 ひとつでも満たしていない条件があると、その分故障リスクが高まると考えた方がよいでしょう。
セキュリティを考慮した条件
上記の設置環境の条件は、あくまでサーバーのハードウェアの部分のみを考慮した設置条件です。
とくにオンプレミス型の設置には、セキュリティを考慮した環境も必要になってきます。
・オフィスとの共用はせず独立した部屋
・無関係な人が訪れない場所
・出入口は1カ所のみ
なども、検討しなければいけない条件になります。
このチャプターでは設置環境を学習しました。次のチャプターでは周辺機器について学習しましょう。

Lesson 8
Chapter 2
周辺機器
チャプター1では、サーバーを設置する環境についてを学習しました。 次はサーバーを設置する際に必要となる周辺機器にはどのようなものがあるのか学習していきましょう。
以下の図をご覧ください。 企業で利用されているネットワーク構成図の一例です。
上記のような構成の場合、サーバーやPCの他に、スイッチやルーター、ファイアウォールを使用していることが分かります。 接続用のケーブルも必要です。 ここにある機器は、規模に関わらずサーバーを構築する上でほぼ必須といえる周辺機器です。
上記はほんの一例ですが、この他にもサーバー設置に関連する周辺機器は、規模や用途によって様々な種類が存在します。
サーバーの周辺機器
サーバーを設置するときに必要な周辺機器は、規模や用途によって異なります。
例えば、24時間フル稼働が前提の場合UPSは必須になりますが、業務時間のみ起動するファイルサーバーならUPSが無くても問題ないかもしれません。
また、ラックマウント型のサーバーを構築する場合、サーバーラックは必須になりますが、タワー型の場合なら必要ないでしょう。
規模や用途を考慮して、必要な機器を選択することが大切です。
サーバー設置に関連する、主な周辺機器を以下の表にまとめました。
名称 | 内容 |
---|---|
サーバー | 24時間365日稼働することを前提としたサーバー用コンピュータ。 |
サーバーラック | サーバーやストレージ、ネットワーク機器を効率的に設置できる専用ラック。 地震などに備えて固定する器具も必要。 |
UPS(無停電電源装置) | 停電などの電源トラブルからサーバーを守る。 |
ルーター | 2つ以上の異なるネットワークを相互に接続するネットワーク機器。 |
スイッチ・ハブ | 複数のコンピュータやLAN接続を行うネットワーク機器。 |
モニター | サーバーの設定等に必要。 サーバーラックに収納できて、キーボードやタッチパッドが一体化した製品も存在する。 |
LANケーブル | コンピュータとネットワーク機器を接続するケーブル。 |
アプライアンスサーバー | 最初からソフトウェアがインストールされていて、特定のサービスや機能に特化したサーバー製品。 ファイアウォールやロードバランサー、プロキシなど様々な種類が存在する。 |
上記のほかにも、電源タップや、コードをまとめる器具なども必要です。
アプライアンスサーバー
アプライスサーバーは、予めOSやサーバーソフトウェアがインストールされた状態で出荷されている製品です。
汎用的なハードウェアから不必要な機能を削ったり、独自のハードウェアやソフトウェアを使用することでコストの削減を図っています。
搭載しているサービスを提供するための最適な構成になっているため、汎用的なサーバーよりパフォーマンスが高い特徴があります。
Webサーバー・DNSサーバー・プロキシサーバー・ファイアウォール・ロードバランサーなど様々な種類が存在し、設定や運用管理も簡単に行えます。
細かい設定ができないことや、多用途には使用できないなどのデメリットもありますが、用途によっては選択肢の大きな1つになります。
まとめ
ここまでのレッスンを通して「サーバーの基礎」を学んできました。
サーバーの知識はシステム運用・保守はもちろん、インフラ構築やアプリケーション開発の際にも役立ちます。
ここで学習したことが次のステップに活かせられたら幸いです。
